訪問看護というと、看護師が訪問するサービスがイメージされますが、訪問看護事業所には理学療法士などの療法士資格を持つスタッフがいる事業所も多く存在しており、必要に応じたリハビリを提供しています。
理学療法士が訪問する場合の報酬の単位を知ることで、訪問看護の位置づけや求められるサービスが見えてきます。
訪問看護とリハビリ
訪問看護では、看護師による医療ケアに加え、理学療法士などによる訪問によるリハビリを受けることも可能です。
ただし、患者さんがリハビリを希望すれば受けられるのではなく、主治医による指示が必要です。
リハビリが必要と主治医が認め、かつ訪問看護指示書にリハビリテーションの指示がなされた場合のみ、医療保険または介護保険のいずれかを利用して、訪問によるリハビリを受けることができます。
介護報酬の改定について
訪問看護で理学療法士、作業療法士または言語聴覚士による訪問が行われる場合、単位の改定が行われます。
これまでは1回につき297単位であったところ、293単位に減算されることになりました。
介護予防を目的とする場合も、287単位から283単位に減算されます。
また、Ⅰ5×2超の指定介護予防訪問看護を行った場合には、1回につき100分の90であったのが1回につき100分の50に減算されます。
単位を減算する目的と理由
単位が減算されるということは、報酬が低くなるということです。
利用者にとっては低コストになって良いように思えますが、提供する訪問看護事業所としては利益が出なくなるので、理学療法士の訪問を減らす方向にシフトすることになるでしょう。
なぜ、このような改定が行われるかというと、訪問看護においては、質の高い看護の提供を重視すべきで、必要を超えた理学療法士による訪問は控えるべきという方針が示されたためです。
本当にリハビリが必要なら、訪問看護ではなく、訪問リハビリを利用すべきであり、訪問看護の利用者は看護師による医療的なケアをしっかり受けるべきという方針から、理学療法士による訪問単位が減算されました。
さらに、理学療法士による訪問が、意味あるものであったことを証明するために、実施した内容を訪問看護報告書に添付しなくてはなりません。
今後の医療ケアニーズの増大に備える措置
リハビリを行ったほうが生活の質が上がるのではと思われるかもしれません。
もっとも、それであれば、訪問リハビリステーションを利用すべきであり、訪問看護サービスにおいては、あくまでも医療ニーズのある要介護者などの在宅療養を支えることに重点を置くべきということです。
訪問看護事業所の中には看護師が不足していることから、リハビリ専門職による訪問看護に特化しているようなケースが見られます。
今後、高齢化が進むにつれ、いっそう医療ニーズは増していくことから、看護師の数を増やし、体制を強化していくことが求められます。
そのために訪問看護においては、理学療法士による訪問の単位は減算され、報酬の水準を低くしました。
まとめ

訪問看護においても、理学療法士による訪問によるリハビリができますが、報酬の単位が減算されました。
リハビリをしてはいけないのではなく、訪問看護と訪問リハビリのサービスをしっかりすみ分けして、必要なサービスを利用すべきということです。
以上、理学療法士による訪問看護の単位についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。